8月の問題解決ワークでの話です。
問題解決ワークというのは、RMMSの会員さんがいま困っていることを持ち寄って、参加メンバーみんなで解決策を考えていく会です。
その中で、ある会員さんの業界にある大手の問屋の話になりました。
「大手の問屋は、あと何年で潰れると思いますか?」
という問いです。
その会員さんの見立ては「撤収しないんじゃないか」でした。
資産があるので、売り込みに回らなくても、店を開けておけば商売になる。
年を取って辞めるとか、社員さんの給料が払えないとか、そういう理由でもなければダラダラ続くだろう、と。
なるほど、それは一理あります。
僕もそこに反対はしませんでした。
ただ、一つだけ引っかかることがあったので、こう返しました。
「今、経営者の間でニュースになっているのが倒産ニュース。倒産の理由で急激に伸びてるのが退職倒産です。社員に辞められる、社員の給料が払えない。要は賃上げに対して利益が追いつかない」

資産があるから潰れない、とは限らないんです。
資産があっても、それを動かす人がいなければ事業は止まります。
問屋にだって、同じことが起きてもおかしくありません。
退職倒産という言葉、聞き慣れない方もいらっしゃると思います。
言葉のとおりで、社員さんが辞めたことがきっかけになって、事業が続けられなくなる倒産です。
資金繰りに詰まって手形が落ちない、あの昔ながらの倒産とは順番が逆なんですね。
お金が先に無くなるのではなく、人が先にいなくなる。
人がいなくなって現場が回らなくなり、売上が立たなくなって、それで畳む。
経営者の頭の中で最後に浮かぶ言葉は、たぶん「もう事業できないな」です。
なんでそんなことになるのか。
世の中が賃上げに動いているからです。
社員さんに残ってもらおうと思ったら、給料をよそ並みに上げないといけない。
でも、上げられるだけの利益が出ていない。
上げなければ辞めていくし、無理に上げれば利益が消える。
どっちに転んでも苦しい、というのが「賃上げに対して利益が追いつかない」の中身です。
これ、経営者としてはかなりこたえる話ですよね。
借金は無い。
取引先もある。
仕事もある。
なのに、続けられない。
コツコツ借金を減らしてきた人ほど、やりきれないと思います。
当日は「急激に伸びてる」としか言えなかったので、あとで数字を調べてみました。
帝国データバンクの2025年の調査です。
人手不足が原因で倒産した会社は427件。
過去最多で、しかも最多の更新が続いています。
そのうち、社員さんの退職が直接の原因になったものは、前年の1.4倍近い124件。
集計を始めてから、いちばん多い年になりました。
ここまでなら「大手の話でしょ?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
実際は逆です。
427件のうち77%が、従業員10人未満の会社でした。
つまり、大きな会社が人を減らして潰れているのではなく、小さな会社が、人が抜けた穴を埋められずに畳んでいるんです。
10人未満の会社で一人辞めると、その人がやっていた仕事がまるごと宙に浮きます。
求人を出しても来ない。
来ても、賃上げの相場に合わせないと定着しない。
穴が空いたまましばらく回して、社長が現場に張りついて、それでも回らなくなったところで「もう事業できないな」になる。
数字の裏で起きているのは、だいたいこういう順番だと思います。
では、どうするのか。
本筋は、賃上げに追いつくだけの利益を出すことです。
僕の本業はそっちの相談なので、それはそれで別の機会にお話しします。
ただ、利益を出すには時間がかかります。
その間に人が抜けたら、待ってはくれません。
だから、もう一つの手段を先に持っておいてほしいんです。
人を増やさずに、今いる人で仕事を回す形を作ること。
人を増やす道が閉じている会社にとって、残っている道はこれしかありません。
僕がAI導入のお手伝いをしているのは、ここが理由です。
人が抜けても止まらない会社、今いる人で回る会社を、AIで先に作っておく。
人手不足倒産の数字を見てから、ますますそう思うようになりました。
問屋の話に戻ると、資産があるかどうかより、今いる人で回る形になっているかどうかで、残るか残らないかが決まっていくはずです。
これは問屋に限った話ではなくて、僕たちの会社も全部同じです。
借金を返し終わってから、人がいなくて畳む。
そんなの悔しすぎますよね。
人を増やさずに仕事を回す形を、自分の会社ではどう作ればいいのか。
考えてみたい方は、ai.msup.biz のAI導入サポートで、まずお話を聞かせてください。
無理に導入を勧めることはしませんので、会社の状況を聞きながら、どこから手をつけるかを一緒に考えましょう。
