「ChatGPTなら毎日使ってますよ」
そう言っていただくことが増えました。
ただ、僕が仕事で使っているものとは、たぶん別のものです。
道具として上か下かの話ではありません。用途が違うんです。
8月7日に、畳店の経営者の方に集まっていただいてセミナーをやりました。そこで手を挙げてもらったら、この違いがそのまま出ました。
同じ「AI」という言葉で、2つの違うものを指しています
会場で手を挙げてもらったら、ほぼ全員が同じ側でした
その日の後半、僕はAIの話をする予定でした。
ところが休憩のあとで、話が噛み合っていないことに気づいたんです。
僕が「AI」と言っているものと、聞いている方が思い浮かべている「AI」が、まったく別物でした。
そこで挙手をお願いしました。
ChatGPTとGeminiしか使ったことがない方が、ほとんどでした。パソコンに入れて使うタイプのものを触ったことがある方は、ほぼいませんでした。
これ、その部屋がAIに疎かったという話ではありません。むしろ、休みの日に高田馬場まで出てきて話を聞こうという方たちです。
つまり、熱心な方でもここは分かれていない。だから僕の話が届いていなかったんですね。
片方は相談する道具、もう片方は自分の情報を扱う道具
分け方は、そんなに難しくありません。
スマホやブラウザで開いて、話しかけて、答えが返ってくる。これが片方です。
もう片方は、パソコンに入れて、そのパソコンの中にあるものを読ませて使います。
前者は相談する道具です。献立でも、旅行の下調べでも、人生相談でも、これでうまくいきます。
僕はこちらを馬鹿にしているわけではありません。そういう用途では、こちらのほうが手軽で速いです。
ただ、仕事の道具として見ると、決定的に足りないものがあります。
自分の会社の情報を、置く場所がないんです。
3社とも、この2つを別の製品として出しています
面白いのは、作っている会社がこの区別を製品でやっていることです。
Anthropicは、一般向けがClaudeで、仕事用がClaude Code。OpenAIは、ChatGPTとCodex。Googleは、GeminiとAntigravity。
3社ともです。たまたま似た構成になったわけではなくて、用途が違うから別の製品になっているんですね。
そして仕事用のほうは、どれもパソコンに入れて使います。しかも、まずMac版から出てきます。
理由は単純で、開発している人がみんなMacで開発しているからです。
分かれ目は、自分の情報を置く場所があるかどうかです
スマホのアプリには、置き場所がありません
ここが今日いちばん書きたいところです。
スマホのアプリは、AIの仕組み全体のうち、スマホで扱いやすい部分だけを取り出したものです。
だから軽いし、すぐ使えます。
でも、あなたの会社の情報を入れるところがありません。
見積書も、お客様とのやり取りも、現場の写真も、置く場所がない。
言い換えれば資源の選択と集中で、あちらは「気軽に相談できること」を選んでいるわけです。
その代わりに捨てたのが、あなたの情報を読むという機能なんですね。
お客様の情報を他人のサーバに置くわけにいきません
もうひとつ、置けない理由があります。
仮に入れるところがあったとしても、入れてはいけない情報があるからです。
お客様の名前と住所。あの人にだけ値引きした、という判断の記録。社内でもめたときのやり取り。
こういうものを、よそのサーバに預けるわけにいかないですよね。
だから、自分のパソコンの中のデータを読めるようにしてあげないと、仕事の道具にはならないんです。
だから「AIを使っています」が噛み合いません
こうなると、同じ言葉で会話しているのに、中身が全然違うことになります。
「AI使ってます」「じゃあ、去年の見積もりを全部読ませて、傾向を出してもらいましょうか」「え、そんなことできるんですか」
こうなるんです。
歌が上手い人に音痴の気持ちは一生わかりません。それと同じで、片方だけ知っていると、もう片方の話は想像がつかないんですね。
うちが実際に使っているもの
パソコンに入れて、中を見てもらう
うちで使っているのはClaude Codeです。
やっていることは単純で、会社の情報を1か所に集めて、そこを読んでもらっています。
打ち合わせの録音。お客様とのチャットの履歴。過去に作った資料。現場の写真。
新しく作ったものはほとんどありません。すでに社内にあって、まとまっていなかっただけです。
同じ質問でも、返ってくる中身が変わります
これを入れると、同じ質問をしても返ってくるものが変わります。
一般論ではなくて、うちの事実から答えが出るようになるんです。
たとえば「今月何を発信したらいいか」と聞くとします。
相談する道具に聞けば、世間で言われていることが返ってきます。それらしくはあるんですが、うちの話ではありません。
情報を読ませたほうに聞くと、先月やった仕事の記録から「これが記事になります」と持ってきます。
僕が思いつかなかった角度で出てくることもあります。
乗り換えるかどうかは、この一点だけ見れば決まります
長々と書きましたが、判断はひとつだけです。
いま使っているものに、自分の会社の情報を置く場所があるか。
無ければ、それは相談する道具です。献立を決めるにはいいけれど、仕事は動きません。
このように明確な目標があれば明確な対処法は存在するはずです。
置き場所のあるほうへ移る。やることはそれだけです。
道具の値段の話と、実際に何を入れるかの話は、また別に書きます。
