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AI導入を業者さんに相談して提案書をもらったとき、失敗しないかどうかの見分け方があるのをご存じですか?

AI導入の失敗の原因になる、提案書の読み落とし。業者さんに返事をする前に確かめること

最近、AI導入の提案書を読む機会がありました。「始めたその月から反応が見込めます」とお約束している施策が、計画表では5か月目から始まることになっていました。丁寧に作られた提案書でも、AI導入の失敗の原因は、計画の設計そのものに入っていることがあります。提案書を受け取ったとき、どこを読めば、その計画が自分の会社のためのものかどうか見分けられるのでしょうか?

AI導入の提案書の計画表を、ロボットと一緒に険しい顔で読む男性

先日、ある方からAI導入のご相談を受けました。

その方は、今やっている業務がそのまま楽になるようなAIの使い方をしたかったんです。
それで、地元でAI導入を手がけている業者さん何社かに、こういうことをやりたい、できますか、と当たってみたそうです。

ところが、返ってきた提案はどこもよく似ていました。
まず当社のツールを買ってください。
次にツールが使えるように研修を受けてください。
そのあとは時間をかけて、社内で使い方を覚えていってください。
どれも中長期のプランで、しかも補助金ありきの組み立てだったそうです。

今の仕事をすぐにでも楽にしたくて相談したのに、出てきたのはツールの購入と長い勉強の計画。
これ、相談した側からしたら拍子抜けですよね。
しかも何社に聞いても同じ形が返ってくるので、AI導入ってこういうものなのかな、と思い込んでしまいます。

実はこの形の提案、僕もよく目にします。
そして提案書は、読む場所さえ知っていれば、その計画が誰のために組まれているのかがちゃんと分かるんです。
今回はそのお話をします。

「始めたその月から反応が見込めます」と書かれた施策は、何か月目に始まるのか

別の機会に、ある業者さんがつくったAI導入の提案書を読むことがありました。
図も入っていて、正直とても丁寧なつくりです。
ちゃんと考えてあるなと感心しながら読み進めていました。

その中に、過去のお客様にもう一度ご案内を送る施策のページがありました。
そこには、こう書いてあります。
「始めたその月から反応が見込めます」

これは期待しますよね。
すぐ売り上げにつながる施策が、提案の中にちゃんと入っている。
導入を検討している社長なら、ここで気持ちが前に向くと思います。

ところが、計画表のページと見比べてみたら、この施策に手を付けるのは5か月目からでした。

提案書の2枚のページを見比べて驚く男性とロボット
お約束と計画表を並べると、食い違いが見えてくる

まさかと思い、読み返しました。
やっぱり5か月目です。
その月から反応が見込めるとお約束しておきながら、その月が来るのはずっと先なんです。
提案を受けた側は、契約してから何か月も、すぐ売り上げにつながるはずの施策を待ち続けることになります。
これはさすがに、がっかりですよね。

書いた人が嘘をつこうとしたわけではないと思います。
施策の説明は施策の説明として正しくて、計画表は計画表として筋が通っている。
ただ、二つを並べると、お約束と実際の段取りが食い違っているんです。
なぜこんなことが起きるのか。
答えは、計画の設計がどこを起点にしているかにあります。

1か月目がツールの購入から始まるAI導入の計画は、誰の段取りで決まっているのか

その提案書の計画表は、1か月目が Google Workspace の有料版への移行でした。
そこから研修と試しの期間があって、社内全体に広げて、自社だけで運用できるようになるのは13か月目からです。

なぜ1か月目がツールの購入なのか。
仕組みの中身を読むと分かります。
入力はGoogleのフォームで受けて、処理はGoogleの上で動く自動処理のプログラムで回して、記事を書くのもGoogleのAIである Gemini。
できた原稿はGoogleの文書にも保存されます。
つまり、仕組みが最初から最後まで全部Googleの上に組まれているんです。
このツールを導入しないかぎり、どの施策も動き出せません。
過去のお客様へのご案内が5か月目まで待たされるのも、この土台が先に要るからなんですね。

実は冒頭のご相談のときも、どこの提案もまず Google Workspace の導入から始まると聞いて、僕はLINEで思わずこう返していました。

「えーっ、それは単にGoogle売りたいだけなのでは、、、」

誤解のないように言っておくと、Google Workspace 自体が悪いわけではないんです。
社員さんのアカウントを会社でまとめて管理できるようになるので、導入する意味はちゃんとあります。

ただ、それは導入する会社の業務から逆算した段取りではありません。
売る側が、自分たちの扱っているツールの上で仕組みを組みやすい段取りです。
提案を受ける側からすると、最初の1か月で今の業務の何が楽になるのかが見えないまま、ツールの購入にお金と時間を使うことになります。
どの業務を楽にするためにそのツールが要るのか。
その説明がないまま、初手がツールの購入とされていたら、計画の設計が売る側の都合で決まっているサインだと思います。

AI導入の仕組みの入口と出口で、誰が手を動かしているか

もう一つ、読んでいて気になったのが、仕組みの入口と出口です。

入口は、営業の担当の方が車の中でスマホに話した内容から記事をつくる、という設計でした。
現場の話を素材にするという考え方そのものは、僕もいいと思います。
ただ、提案書のリスクの欄を見ると、提案した側が自分で「音声入力の停滞」と書いているんです。
対策は、運転の前に少し話すのを習慣にしてもらう、というものでした。

つまり、社員さんの毎日の仕事に、新しい作業が一つ足されるわけです。
しかもそれが続かないかもしれないことを、提案した側も分かっている。
忙しい日が続けば、話すのはつい後回しになりますよね。
入口に材料が入ってこなければ、その先の仕組みがどれだけ立派でも、記事は出てきません。

出口も同じです。
Instagram と X への投稿は、できた文をコピーして、写真を選んで、担当の方が手で投稿する設計でした。
情報を集める段階では、毎朝運転の前にスマホに向かって話す。
記事ができたら、今度は文をコピーして写真を選んで、一件ずつ手で投稿する。
集めるときも出すときも、社員さんの手間が増えていくんです。
AIを入れて楽になるはずが、現場の仕事が一つ、また一つと足されていく。
これでは社員さんから不満が出ても無理はないですよね。

僕のところでは、ここをまったく別の形で組んでいます。
社員さんに、新しく何かを話してもらうことはしません。
お客様への商品の説明も、商談でのやり取りも、会社の中ではもう毎日のように言葉になっていますよね。
その言葉を、社員さんが手を止めずに集める方法は、音声入力のほかにもあるんです。
会社ごとのやり取りの形に合わせて組むのでここでは詳しく書きませんが、うまく組めば、社員さんが記録のために足す作業は、理論上ほとんど要らなくなります。
集めた記録は、相手の会社のサーバーではなく手元のパソコンに貯めます。使うAIは Claude Code でなくても、Codex でも Antigravity でも構いません。
そして出口は、決まった時間に自動で投稿されるようにしておきます。
社員さんの毎日はいつもどおりのまま、ブログやSNSの投稿だけが増えていく。
これなら、続けられるかどうかで悩むこともありません。

AI導入の業者さんに「これできますか」と聞く前に、決めておくこと

ここまで読んで、業者さんがひどいという話に聞こえたかもしれませんが、そうではないんです。

「AIでこれできますか」と手段で聞くと、返ってくるのは手段の答えです。
できます、このツールでこういう段取りでやります、と。
聞かれたことに丁寧に答えると、ああいう提案書になるんですね。

その提案書に、一度も出てこなかった言葉があります。
「単価」です。
記事を何本出すか、問い合わせをどれだけ増やすかは書いてあるのに、何を売りたいのか、どの商品の単価を上げたいのかは、最後まで出てきませんでした。

これは、言葉が一つ抜けていたというだけの話ではないんです。
会社としてこの先こうありたい、というゴール設定やビジョンが、AI導入による業務改善のどこにも織り込まれていない、ということなんです。
ゴールが無いまま、AIでブログを書く、投稿を増やす、という手段にだけ手を付けると、現場から見れば仕事が増えるだけです。
何のためにやるのか分からない作業を足されたら、社員さんが反対するのは当然ですよね。
しかもそれで労力まで増えるなら、なおさらです。
AIを入れたのに、社内がぎくしゃくしてしまう。
AI導入の失敗の原因は、案外こういうところにあると僕は思っています。

僕がAI導入でいちばん大事にしているのも、そこです。
僕の場合、狙いは上のランクの商品を売って、単価を上げること。
ブログも動画もSNSも、そのゴールに向かうための手段にすぎません。
だから僕は、ツールの話より先に、まずご要望を聞きます。
冒頭のご相談のときも、LINEでこうお返ししました。

「いっかい数名でzoomででもご要望お聞きした方がいいですかね?」

そのうえで、導入の初日に自動投稿の仕組みを入れて、目の前で投稿が出るところまでやります。
ずっと先に使えるようになる計画ではなく、初日に一つ動いている状態から始めるんです。

正直に言うと、僕のところで導入していただく必要はないと、心から思っています。
ノルマもありませんし、他の会社さんで入れてもらっても構いません。

ただ、AI導入の提案書を受け取ったら、返事をする前に次のことだけは確かめてみてください。
最初の1か月で、今の業務の何が楽になるのかが書いてあるか。
そのツールを買う理由が、どの業務を楽にするためなのかまで説明されているか。
社員さんの毎日に、新しい作業を足す設計になっていないか。
そして、あなたの会社がこの先どうありたいのか、何を売っていきたいのかというゴールが、計画の中に織り込まれているか。

読んでみて判断に迷ったら、そのまま契約して無駄なトラブルを抱えてしまうより、一度ご相談ください。
提案書の診断ぐらいなら、喜んでやります。

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