先日、AIでSNSとブログを回していきたい、というご相談を受けました。
相談に来られた会社さんは、SNSのアカウントをいくつも持っておられます。
Instagram、YouTube、TikTok、Facebookに、同じ投稿を出しているそうです。
その投稿を受け持っているのは、担当の社員さんお一人でした。
お話の途中で、その社員さんから、投稿のネタを考えるのが結構大変で、他社のサイトを参考にしている、というお話がありました。
これは大変です。
毎日のように何かを投稿しないといけないのに、材料が担当者に回ってこない。
その悩みを一人で抱えていたら、しんどいですよね。
AIを入れたら、このしんどさは軽くなるのか。
僕はその前に、一つだけお聞きしてみることにしました。
社内の情報共有は、どこまでできているのか?
まず僕がお聞きしたのは、「ふだんの社内の連絡は、何を使っていますか」ということでした。
返ってきた答えは、LINEとChatWorkです。
主に使っているのはLINEのグループで、一部だけChatWorkを使っている、とのことでした。

では、お客様とのやり取りの詳しいことはどこに書いてあるのか。
お聞きすると、詳しいことは一部の担当者だけが見る紙の書類に書いているそうです。
しかもやり取りの多くは、一部の方のLINEに集まっていて、発信を担当しているこの社員さんからは見ることすら叶いませんでした。
ここで、問題がなんとなく見えてきました。
当初の予想に反して、この会社さんにネタが無いわけではないんです。
現場では毎日、お客様とのやり取りがあって、ご相談もあって、ときにはご不満もあるはずです。
ただ、それが紙の書類と一部の方のLINEの中にあって、発信をする社員さんは蚊帳の外。
社内の情報共有がそこで途切れているので、担当の方はほかの会社さんの投稿をパクるしかなかったんですね。
僕はその場で、こうお伝えしました。
「SNSを何本投稿するという末端の話より、働き方そのものから手を加えた方がいいと思います」
「情報が流通しない状態から、無理に投稿をゼロベースで生み出すっていうのは、限界があると思います」
担当の方がどれだけ頑張っても、材料に手が届かない仕組みになっているわけですから。
このままAIを入れたら、誰がいちばん忙しくなるのか
では、この状態のままAIを入れたらどうなるか。
AIで発信をしっかり回そうとすると、1業種で年間およそ2,500本の投稿が要ります。
これは動画やSNSも含めた数です。
僕自身、毎日たくさんの投稿を出していますが、自分で書いている投稿は正直ゼロです。
文章を書いたり動画を編集したりすること自体は、AIがやってくれます。
しかし、何について書くかという材料のほうは、勝手には出てきません。
人力で社内を取材して回り、投稿の材料を集めるとなると、週に3本くらいが精一杯でしょう。
年間2,500本と、週に3本。
この差を、社内に情報が流れていないまま埋めることは可能でしょうか?
今でも担当の社員さんが、材料を集めるために社内中を走り回っています。
今でもお一人で大変なのに、そこへさらに材料集めの仕事が倍以上のペースで要求される。
そんなAI導入、誰もうれしくないですよね。
実はこの日、僕は冒頭で、今日は売り込みはしませんとお伝えしていました。
その理由はここにあります。
ほとんどの会社さんは、いわばAI以前とも言える同じような課題を抱えています。
この状態で僕がAIの仕組みをお売りしたら、あとで苦労するのは目の前のこの社員さんなんです。
社員さんを疲弊させる導入だけは、やってはいけません。
経営者だけの判断では見過ごされがちな視点です。
カビの時期の記事を書くとしたら、何を参考にしますか
たとえば、カビが出やすい時期に、カビについての記事を書こうとしたとします。
いまのままだと、ほかのサイトを見てパクるか、社員さんにもう一度話を聞き直すしかありません。
でも、お客様からの問い合わせや、ご不満への対応が、デジタルで残っていたらどうでしょう。
去年のこの時期に、どんなお困りごとが届いて、どう対応したのか。
それを読めば、AIはこの会社さん自身の経験から記事を書くことができます。
むしろAIのほうから、カビの記事を書くならこの時期です、と提案があることでしょう。
そして重要なのは、ほかのサイトを参考にした中身、つまりパクリ記事は検索でも評価されにくいと言われていることです。
逆に、自社でお客様と向き合った話なら、どこにも書かれていない、その会社さんだけの記事になりますよね。
読んだお客様にとっても、どこかで見たような話より、ずっと頼りになるはずです。
材料は、もう社内にあるんです。
あとは、それがAIの読める形で一つにまとまっていれば、担当の方がネタ探しで苦労したり、パクリ記事でペナルティを喰らったりするケースは、ぐっと減っていきます。
社内の情報共有ツールは、何を選べばいいのか
ここまでお話しすると、次に気になるのはツール選びだと思います。
社内の情報共有ツールは、どれがいいのか。
僕の答えは、何でもいいです。
全員がLINEでも、全員がChatWorkでもかまいません。
大事なのは、一つに決めて、全員で使うことです。
LINEのグループと、ChatWorkと、紙の書類と、一部の方のLINE。
連絡がこれだけ分かれていたら、どんなに評判のいいツールを入れても、発信の担当の方まで情報が行き届きません。
一つに決めて全員が使えば、現場で起きたことが、そのまま発信の材料として集まるようになります。
ただ、これは担当の社員さんが一人で決められることではありません。
社長が「これでやろう」と言ってくれないと、進まないんです。
そして、決めようとすると、抵抗は必ず出ます。
情報が漏れたらどうするのか。
入力の手間が増えるんじゃないか。
社長には見せたくない情報だってある。
どれも、現場からすればあり得る心配ですよね。
だから1回目の話し合いは、「やろう」と決めるところで終わります。
この日の最後に、参加されていた方からこう聞かれました。
「データがアナログすぎるので、そこから始めるということですか」
僕は「その通りです」とお答えしました。
地ならしです。
まずは社内の連絡が、いま何で回っているのかを一度書き出してみてください。
