前回、プレスリリースはAI向きの仕事ですよ、という話をしました。
今回はその続きなんですが、ちょっと意外な話になります。
今年の夏、熊本地震のあとに、い草の産地を応援するチャリティーセミナーをやりました。
プレスリリースを出したのは僕です。
そうしたらNHKも日本農業新聞も取材に来てくれました。
「ほら、プレスリリース出したら来るでしょ」
そう思いますよね?
僕もそのつもりで話を聞いてたんです。
ところが、取材の入口で記者さんとやり取りしていると、どうも様子が違うんです。
プレスリリースを読んで、それで電話をかけてきた、という動きじゃない。
どの媒体も、同じ順番で動いていました。

まず、震源に近い宇城市は主力産業がい草だ、と当たりをつける。
次に、い草で困っている農家さんのところへ取材に行く。
そこで、困っている人と向き合って支援している側は誰なんだ、と探す。
最後に検索です。
そうしたら出口のところで「あ、検索で見つかったから、こいつやな」って。
他も、みんな問い合わせがその順番ですね。
こっちが設計してる通りです。
正直、これは嬉しかったですね。
先に読んでおいた順番のとおりに、記者さんが見つけてくれたわけですから。
じゃあ何を設計していたのか。
プレスリリースが無駄だった、という意味ではありません。
でも、実際に電話をかける相手を決める場面では、記者さんは検索しているんです。
考えてみたら当たり前で、東京の記者さんは熊本に行っていません。
現地の様子が分からないんです。
だから最初の依頼が「地面が割れているオリジナル画像はありますか」から入ってきます。
畑を歩いて探せない人は、検索で探すしかないんですよね。
そこで出てくるページを、先に置いておく。
それが僕のやった設計です。
「い草 畳 チャリティーセミナー」で探されたときに、うちのページが出てきます。
中身はかなりプレスリリース寄りで、記者さんが知りたい経緯がそのまま読める状態にしてありました。
探されたときには、もう出来上がっているわけです。
で、このページ、いつ作ったと思いますか?
この話をセミナーでしたときの僕の言葉がこれです。
「僕、取材の当日に作ってるんだよ」
取材の話が動き出したその日に、その日のうちに作りました。
「そんなに早く作れるの?」
と思われるでしょうが、速さの理由はAIそのものじゃないんです。
材料が手元に全部溜まっていたからです。
チャリティーセミナーをやることになった経緯の資料も、プレスリリースの原稿も、参加者の名簿も、これまでに書いてきた記事も、ぜんぶ僕の手元にあって、AIがそれを見に行ける状態になっています。
なので「記者さんはどんな言葉で探しに来るか」を決めれば、AIが溜めてあるものを総合してページを組み立ててくれます。
ゼロから文章をひねり出す作業がありません。
あるものを並べ替えて、探す人の言葉に合わせるだけです。
つまり当日に作れたのは、AIが賢いからではなくて、情報が溜まっている環境があったからです。
材料が溜まっていなかったら、どれだけ賢いAIに頼んでも「経緯を教えてください」から始まります。
その質問に答えているうちに取材の日が終わってしまいますよね。
情報が育っている環境があるから、探されたときに出てくるページをその日のうちに設計できる。
ここが有利さの正体です。
さて、ここまで読んで「うちには取材なんて来ないよ」と思った方。
順番を思い出してください。
記者さんはプレスリリースの束からあなたを選んだのではありません。
困っている人のところへ行って、その人を支援している側を探して、最後に検索で見つけています。
ということは、あなたの商売で困っている人が出たとき、その人を支えている側として探されるのは誰か。
探す人はどんな言葉で検索するのか。
その言葉で出てくるページが、あるかないか。
これだけなんです。
プレスリリースを出しても反応がない、という方は、出口のページが無いだけかもしれません。
記者さんが辿り着く最後の一歩のところに、あなたのページが立っていれば、そこで電話が鳴ります。
順番を先に読んで、見つかる側になっておく。
僕がやったのは、それだけです。
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