「AIの文字起こし、内容はほぼ完璧なのに、人の名前だけぐちゃぐちゃ」。使ったことのある方なら、全員うなずくと思います。
議事録に出席者の名前が間違って記録されるのは、実務ではけっこう致命的ですよね。毎回手で直すのも面倒です。
先に結論を言います。文字起こしをAIに整理させるとき、参加者の名簿を一緒に渡してください。それだけで、人名の精度が目に見えて上がります。
人名は「必ず」間違えます。特に珍しい名字は
まず、問題の正体から。
うちのセミナーの書き起こしでも、参加者の名前は書き起こした段階で必ず間違えるんです。ありふれた名字ならまだしも、珍しい名字は絶対に、もっとよくある別の名前に化けます。音として似ている、登場頻度の高い名前に引っ張られるんですね。
これはAIの性能が低いからではありません。音声だけを手がかりにすると、同じ読みの候補が複数あって、どれが正解か判定できない。人間が電話で初めての名前を聞き取るときに間違えるのと、同じ構造です。
名簿を渡すと、正解が出てきます
で、解決策です。
書き起こしを整理させる段階で、参加名簿をAIに一緒に渡す。私の実運用では、これで珍しい名字も割と正解が出てくるようになりました。
理屈は単純で、「この中の誰かですよ」という候補リストがあれば、AIは音の近い候補を名簿から選べるんです。ゼロから推測させるのと、選択肢から選ばせるのとでは、難易度がまるで違います。
名簿といっても、大げさなものは要りません。参加者の名前を並べたテキストで十分です。社内会議なら部署のメンバー一覧、お客様との打ち合わせなら相手の会社名とお名前。手元に必ずあるものですよね。
音声だけの議事録で、大事な部分が欠けていませんか?
もうひとつ、精度の話で付け加えたいことがあります。音声の自動書き起こしだけで議事録を作ってしまうと、大事な部分が欠落したレポートが出てくる。そんな経験はありませんか?
会議の中身は、声に出た言葉だけでできているとは限りません。ホワイトボードの板書、配られた資料、手元のメモ。話の構造を支えている情報が、音声の外側に残っていることがよくあるんです。音声だけを渡されたAIは、その構造が見えないまま要約するので、もっともらしいのに肝心なところが抜けた議事録になりやすいんです。
対策は、名簿と同じ発想です。板書やメモの写真も一緒に渡してください。話の構造が伝わって、漏れ落ちが減ります。
私の録音環境は、スマホひとつです
「そもそも録音や文字起こしの環境を整えるのが大変そう」と思われるかもしれません。
私がやっているのは、iPhoneのボイスメモに録音して、その書き出し機能を使うだけです。それが優れているからではなくて、ただ楽だからです。
これで十分に実用になっています。実際、丸一日のセミナーのレポートも、この方法で録った音源から作っています。特別な機材も、月額の文字起こしサービスも使っていません。
もっと踏み込んで完全自動化したい場合は、パソコンの中に文字起こしソフト(Whisperなど無料で使えるものがあります)を入れて、AIに操作させる方法もあります。録音を置けば勝手にテキストになる、という流れまで組めます。ただ、まずはスマホのボイスメモで始めるので十分です。
精度より大事なのは「何が残っているか」です
最後に、道具の話より大事なことをひとつ。
文字起こしの価値は、一言一句の正確さよりも、仕事の記録が残ること自体にあります。特に、お客様がどういう感情だったか、どう考えていたか。この情報が残っている記録は、議事録としてだけでなく、後々ブログや提案の材料としても効いてきます。
人名の精度は名簿で担保する。内容の価値は「感情と考えが残る録り方」で担保する。この2つを押さえれば、文字起こしは単なる便利機能から、会社の資産づくりの入口に変わります。
まとめ
- AI文字起こしの人名間違いは、性能ではなく「候補がないこと」が原因です
- 参加名簿を一緒に渡すだけで、珍しい名字も正解が出やすくなります
- 録音はスマホのボイスメモで十分。丸一日のセミナーレポートもこれで作れています
- 議事録は音声だけで作らない。板書やメモも一緒に渡すと、話の構造が伝わって漏れ落ちが減ります
録音を貯めてブログの材料にする話は、別記事(問診の録音が100件たまると、ブログは書き放題になる)で詳しく書いています。
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