「サイト改修の打ち合わせ、また日程調整からですか?」
そう聞かれたら、思わず苦笑いしてしまう方も多いのではないでしょうか。私も長年そうでした。ところが最近、あるクライアントのサイト改修で、人間が顔を合わせたのは最初の1回だけ、という進め方で実際に回しています。今回はその中身と、まだ人間の目を残している部分を、実際の運用のまま書いておきます。
サイト改修の打ち合わせ、何回やっていますか
普通にサイト改修を進めると、ヒアリング、原稿確認、デザイン確認、修正依頼、また確認、と何度も打ち合わせが発生します。担当者のスケジュールを合わせるだけで数週間かかることも珍しくありません。しかも毎回、日程調整という地味な作業が挟まります。
私が今支援しているのは、ある畳店のサイト改修です。関係者はチャットワークの1つのグループチャットに集まっています。社長、事務スタッフ、私、事務局のスタッフ、そしてAI専用のアカウント。人間4人とAIが1つ、同じ部屋に入っている状態です。
このグループを作った時点では、正直そこまで期待していませんでした。人間の担当が4人いるので、結局は今まで通り、誰かが質問をまとめ、誰かが返答を確認し、誰かが修正を指示する、という役回りが残るだろうと思っていたからです。
会話のインターフェース自体は、いつも通りのチャットワークです。特別なツールを新しく覚えてもらう必要はありません。
実際にやったのは、最初の1回だけでした
このグループで人間4人が顔を合わせたのは、最初のZoom打ち合わせ、1回だけです。その打ち合わせの議事録をチャットワークに1つ入れました。以降のやり取りは、質問も返答も、すべてAIが担当しています。
具体的には、社長に確認したい項目のリストも、選んでもらう画像の候補も、全部AIが用意します。それをチャットワークに投稿し、社長が返事をする。AIがその回答を踏まえて修正し、「こちらご覧ください」と返す。この往復だけで、サイトは普通にできあがっています。社長も特に疑問を持たず、いつも通り答えてくれています。
「AIに任せると聞くと、見当違いの質問を連発して、かえってクライアントを困らせるのでは」と思われるかもしれません。私も最初はそこが心配でした。ところが、最初の議事録さえきちんと渡しておけば、質問のピントは意外とずれません。ずれた時に軌道修正するのが、次に書く「まだ人間が見ている部分」です。
なぜ、これでちゃんと回るのか
種明かしをすると、難しい仕組みは入れていません。最初の打ち合わせの議事録さえ正確に渡しておけば、その先の「何を聞けばいいか」「どの画像を見せればいいか」は、AI自身が考えて用意してくれます。人間がやることは、AIの用意した質問や候補が的外れでないかを、たまに確認するだけです。
つまり手間が減っているのは、打ち合わせの回数そのものより、その都度「何を聞くか」を考える手間の方です。ここが、AIに任せて一番効いている部分だと思っています。打ち合わせの回数が減ったのは結果であって、目的ではありません。
これも経営と同じで、任せる相手が変わっても、任せ方の原則は変わらないと思っています。何をやってほしいかを最初にしっかり伝え、あとは仕事ぶりを見ながら任せる範囲を広げる。相手が人間からAIに変わっただけで、やっていることは今までと同じです。
同じことをやるなら、何を渡せばいいか
今回やったことを分解すると、実はそんなに複雑ではありません。
まず、チャットワークのグループチャットに、AI専用のアカウントを1つ追加します。次に、最初の打ち合わせはいつも通り人間だけで行い、その議事録を1つ、同じチャットに投稿します。あとは、クライアントから返事が来るたびに、AIに「見てきてね」と一声かけるだけです。
新しく覚える操作は、ほとんどありません。クライアント側からすれば、いつものチャットワークのグループに、少し物分かりのいいメンバーが1人増えただけです。これなら、ITが苦手な取引先が相手でも、導入のハードルは高くありません。
まだノーチェックにはしていません
正直に書いておきます。この運用にすれば、AIの返答をノーチェックのままやり取りに流すこともできます。ただ私は、任せ始めてまだ日が浅いので、そこまではしていません。AIの仕事ぶりや返答の内容を確認してから、送るタイミングは自分で決めています。
誤解のないようにお伝えしますが、これは「AIが信用できないから」ではありません。新しく入った社員に、いきなり全権を渡す会社は少ないですよね。それと同じ理屈です。仕事ぶりを見ながら、任せる範囲を少しずつ広げていく。その途中経過を、今そのまま書いています。
巡回の頻度も、今は1日1回、朝8時か9時に見に行くだけです。このやり取りはリアルタイムで返す必要がないので、それで十分に間に合っています。
巡回の頻度は、お金次第でいくらでも変えられます
面白いのはここからで、お金を気にしなければ、もっと細かく回すこともできます。コストの低いモデルに5分に1回くらい様子を見に行かせておき、判断が必要な場面だけ、賢いモデルを呼んでくる。会議の進行役のAIが、必要なときだけ最高知能のAIを雇ってくる、というイメージです。
今は1日1回で十分なので試していませんが、案件の数が増えて即応性が必要になれば、この構成に切り替えるつもりです。人手を増やす前に、まずAIの巡回頻度を上げる。この順番で考えられるようになったのは、大きな変化だと感じています。
まとめ
AIは、まだ仕事を覚えていない新人と同じだと思っています。「これで合っていますか」と確認させながら使えば、普通の社員と同じように働いてくれます。今回のサイト改修も、その延長線上にある話です。
打ち合わせの回数を減らすことが目的なのではなく、任せられる部分を見極めて、そこから確実に手放していく。それだけの、地味な積み重ねです。
任せる範囲は、まだ広げている途中です。それでも、打ち合わせが1回で済んだという事実は、もう起きてしまいました。あとは、任せる範囲をどこまで広げていくか、その線引きを一つずつ確かめていくだけだと思っています。
もし自分の会社にも、こうした「AI社員」をチャットワークやSlackに置いてみたいと思われたら、AI Team by MeisterSupportまでご相談ください。どこから任せ始めるか、線引きを一緒に決めるところからお手伝いします。
