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自動化を進めたいけれど、暴走させるのが怖い経営者の方へ。

どこまでAIに任せるか〜「俺が言うまで送るな」という線引きの設計

自動にしていいものと、必ず自分の判断を挟むもの。僕は「お金が動くか、外に出ていくか」の2つで線を引いています。実際にうちが何を渡していて、何を渡していないかをお話しします。

自動化されたルーチンの中で、送信ボタンの手前だけ人間が確認する境界線を示すイラスト

「AIに仕事を任せると、そのうち暴走するんじゃないか」

そう思って手が出せない経営者の方、多いですよね。その心配、もっともだと思います。というより僕自身、全部をAIに渡してはいません。今回は、どこまでを機械に渡して、どこからを自分で握るのか、その線引きのお話です。偉そうに書いていますが、僕も最初からこの線が引けていたわけではありません。

作る工程と、送り出す工程は、そもそも別の仕事です

社員が作った請求書に、上長がハンコを押す

まず、昔から会社にある仕組みの話をさせてください。

社員が請求書を作ります。でも、作った本人がそのままお客様に送ることはしませんよね。上長が中身を確認して、ハンコを押します。どこの会社でもやっていることで、誰も特別なこととは思っていません。

じゃあ、なんでわざわざ分けているのかって話ですよね。作る人と、出していいと決める人を、別々にしているんです。金額が違っていないか。宛先が合っているか。そもそも、今月これを出していいのか。作った本人は中身を見慣れてしまっているので、間違いに気づきにくいんですよね。

この工程、面倒だから残っているわけではありません。一度外に出た書類は取り消せないから、残っているんです。

AIは社員の仕事を代わりにやってくれる。ハンコは別の仕事です

で、AIというのは、この社員のほうの仕事を代わりにやってくれる存在です。

書類を作る。文章を書く。返信の下書きを用意する。ここまでは、正直びっくりするほど速いです。うちでも、人がやっていた頃とは比べものになりません。

ただ、速くなったのはあくまで「作る」ところなんです。これを本当に外に出していいのか、を決める仕事のほうは、そのまま残っています。これまで人間の上長がやってきた、あのハンコの工程ですね。

むしろ、作るのが速くなった分だけ、ハンコの重みは増していると思います。上がってくる量が増えるほど、目を通す側の責任は重くなりますからね。

考えてみると、これまでの事務の効率化でも、実は同じでした。手書きの伝票が表計算ソフトになっても、上長のハンコはなくなりませんでしたよね。作るところの道具が変わっただけで、出していいと決める工程には誰も手をつけなかったんです。AIになっても、そこだけは変わっていないというだけの話なんですよね。

自動化とは、全部を渡すことではありません

ここが一番の誤解だと思っています。

自動化というと、全部を機械に丸ごと渡すことだとイメージされますよね。だから怖いんです。勝手に走り出したらどうしよう、と。

そうじゃないんです。作る工程は任せて、送り出す工程にだけ人の判断を残す。この二層に分けて設計することが、暴走させないための一番の対策だと思っています。

経営でも同じですよね。実行は現場に任せても、決裁は自分が握る。やっていることは、それとまったく同じです。

線は「お金が動くか、外に出ていくか」で引きます

この2つに当てはまる工程には、必ず人の確認を挟む

じゃあ、具体的にどこで線を引くのかって話ですよね。

僕が使っている基準は2つだけです。

  • お金が動くか
  • 外に情報や書類が出ていくか

このどちらかに当てはまったら、必ず自分の目を通します。当てはまらなければ、目を通さずに流します。それだけです。

なんでこの2つなのかというと、どちらも取り消しがきかないからなんです。送ってしまった請求書は取り戻せません。取引先に届いたメッセージも同じです。間違いに気づくのが、いつも事後になる工程と言い換えてもいいと思います。

このシリーズで前に書いた、買う前のお客様に見せる写真に一線を引くという話も、根っこはこれと同じです。

ここで、ブログやSNSへの投稿はどうなんだ、と思われたかもしれません。あれも外に出ていくじゃないか、と。そのとおりです。なので、出ていく中身のほうは事前に僕が目を通して、これは出していいと決めたものだけを並べてあります。渡しているのは、決まった時間にそれを流す作業のほうなんですよね。中身を決める仕事と、流す作業は別なんです。ここでも、作る工程と送り出す工程を分ける話がそのまま出てきます。

それと、基準を2つに絞っているのにも理由があります。細かいルールをたくさん作ると、まず覚えていられません。2つなら、誰が判断しても同じ答えになるんです。

当てはまらない作業は、思い切って渡してしまっていい

で、大事なのはここからです。

この2つに当てはまらない作業は、迷わず渡してしまっていいと思っています。

  • 社内で完結する作業
  • 情報を集めて並べる作業
  • 決まった時間に見に行く作業
  • 下書きを用意するところまで

このあたりで人がいちいち止まっていると、自動化のうまみが全部消えてしまうんですよね。

よくあるのが、心配だから全部を確認する、というやり方です。気持ちはわかります。でもそれ、結局は全部を人がやっているのと変わりません。確認の手間が増えた分、前より遅くなることさえあります。

線を引くのは、止めるためじゃないんです。渡すために引くんですよね。ここだけは見る、と決めるから、残りを安心して手放せます。

そして、順番も逆にしないほうがいいです。渡せるところまで渡してみて、それから危ないところに線を引く。一見まともに聞こえますが、これだと危ないところが見つかるのは事故が起きたあとになります。線が先です。ここは自分の目を通す、と決めてしまうから、残りを迷わず渡していけるんですよね。

うちが実際に引いている線

渡しているもの

では、うちが実際に何を渡しているのか、書き出してみます。

  • チャットワークのメッセージを、1日1回決まった時間にチェックする
  • 電話相談の予約が入ったらZoomを作って返事を送り、キャンセルの処理もする
  • このブログを毎日1本、お昼ごろに自動で公開する
  • スクール向けのブログも毎日1本、夕方に自動で公開する
  • 公開したブログを受けて、Facebookページに投稿する
  • Instagramにも毎日投稿する
  • ブログをもとにした縦型の短い動画(リール)も、週に何本か自動で投稿する

特別な操作は何もしていません。パソコンを立ち上げっぱなしにしておけば、決まった時間に毎日勝手に動きます。ローカルの環境で動かしているので、パソコンが開いていないと動けないんです。だから仕事場のパソコンは、開けたまま帰っています。

書き出してみると、結構な数になりますよね。これを毎日人の手でやっていたら、それだけで1日がつぶれます。

渡していないもの

一方で、あえて自動にしていないものがあります。

毎月お客様にお送りしている請求書です。

作る作業そのものは、もう自動化が終わっています。料金を入れて、消費税を入れて、請求書を仕上げるところまでAIがやってくれます。それなのに、送信のタイミングだけはスケジュールに乗せていません。

理由は単純です。俺が送れと言うまで、勝手に送ってほしくないからです。

この話をすると、驚かれることがあります。ブログもチャットワークもZoomも自動にしているのに、なぜ請求書の送信だけ止めているのか、と。答えは、さっきの基準そのままです。お金が動く工程だからなんですよね。

チャットワークの返信も、僕が見てから出しています

同じ線は、チャットワークでも引いています。

AI専用のアカウントを置いていて、そこに質問が来ることがあります。でも、AIが勝手に返信することはありません。1日1回見に行って、内容を確認してから返事を出します。

取引先に届くメッセージも、請求書と同じで、一度外に出たら取り消せませんからね。だから、送り出す手前だけは自分の目を通す。逆に言うと、そこまでの下書きは全部渡しています。

そして、この線は一度引いたら固定というものでもないんです。まだ様子を見ている段階のものは、ノーチェックでは出しません。慣れてきたら、渡す範囲を少しずつ広げていけばいいだけの話です。線を引くのは、任せる範囲をこれから増やしていくための準備だと思っています。

どこに線を引くかは、業種や会社によって変わります。うちはここまでは自動でいい、ここから先は自分の目を通す。その線引きさえ決まれば、あとは任せる範囲をどこまでも広げていけます。自社の業務でこの境界線をどう設計すればいいか迷ったら、AI Team by MeisterSupport のLINEかお問い合わせフォームから、お気軽にご相談ください。

AI活用の実例

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